私は22歳で大学病院に入り、26歳で外科病院へ、29歳で訪問看護へ転職しました。
いま振り返ってみると、2回とも転職してよかったと思っています。
ただ、当時から「成功する転職をしよう」と考えていたわけではありません。
そのときどきで、自分が変えたいと思ったことを変えるために転職してきました。

1回目の転職|大学病院から外科病院へ
新卒で配属されたのは、大学病院の急性期病棟でした。
3年目からプリセプターを任されるようになり、4年目もそれは続きました。
- 業務量が多すぎるが、給与が上がる見込みがない。
- 殺伐としていて、仕事を楽しいと思えない。
これが1回目の転職の理由です。
4年目、仕事と責任ばかり増えていった
受け持ちの患者を見ながら、後輩の指導案を作り、日誌に毎日フィードバックを書き、後輩の相談にも付き合う。
さらに、医療安全委員会や褥瘡対策委員会といった委員会活動があり、月に数回の会議への出席や資料作成が、休みの日や勤務時間外に組み込まれていました。
BLSや感染対策の研修も、受けたら受けたで、病棟のスタッフに向けて自分が伝達講習の資料を作らなければなりません。
これらはどれも、患者を見る仕事とは別の、病院という組織を維持するための仕事でした。
仕事が積み重なるほど、時間外や休日に食い込んでいきます。
責任と業務量が増えるだけで、給与はほとんど変わりませんでした。ボーナスの査定も据え置き。
これだけやっているのに割に合わない。
という感覚が、退職を考えるきっかけになりました。
転職して、働き方への不満がなくなった
転職先に選んだのは、個人経営の外科病院でした。
術後の患者が中心で、大学病院の急性期病棟に比べると落ち着いて働ける環境です。
看護師は4人体制で、夜勤専門の看護師もいたので、夜勤のシフトもそれほどきつくありませんでした。
最初は、すでに出来上がっている人間関係の中に飛び込む形になり、アウェイな感覚もありました。
それでも時間が経つにつれて自然と馴染んでいき、気づけば4年働いていました。大学病院で感じていた「割に合わなさ」は、この転職でなくなりました。
2回目の転職|外科病院から訪問看護へ
2回目の転職は、限界を感じての転職ではありませんでした。
外科病院に、大きな不満があったわけではありません。仕事も人間関係も、悪くありませんでした。
だからこそ、辞めるかどうかはかなり迷いました。
- 仕事を一通り覚えたあとは、繰り返すだけの毎日になっていた。
- 自分の裁量でできる仕事をしてみたいと思うようになった。
- 病院での立場や地位を上げて行くことに興味がない。
ここに居続ける先の自分が見えてしまった
このまま働き続ければ、もっと仕事ができるようになるでしょうし、後輩を教える立場にもなるでしょう。
職場の中で頼られるようにもなります。長く働くほど、自分の立場もできていきます。
でも、それは自分が求めているものなのか。
働き続ける意義が、この職場での地位向上だけになってしまう気がしました。
病院内で地位を上げたいわけではない
大学病院にそのまま残っていたら、私はどうなっていただろうと考えることがありました。
臨床ラダーを上がっていき、委員会活動をこなし、認定看護師や専門看護師を目指すか、あるいは主任・師長という管理職のコースを進んでいたかもしれません。
大学病院に残っていたら、そういうキャリアを歩んでいた可能性が高いです。
でも、私はそこを目指したいとは思いませんでした。
私が本当に求めていたのは、そういう組織内での地位ではなかったんだと思います。
自分らしく看護師として働きたい
もっと自分のペースで、自分の判断で動きたい。体力があって動けるうちに、それを実現したい。
そう思ったとき、訪問看護という選択肢が見えてきました。
訪問看護では、大学病院で身につけたものがそのまま使えた
訪問看護を始めてみると、大学病院時代に培ったアセスメント力や優先順位の判断、急変時の対応力が、そのまま役に立っていることに気づきました。
大学病院時代に携わっていた褥瘡対策委員会で得た知識が、今の現場ですごく役に立っているということです。
訪問先で褥瘡に悩む利用者やその家族に出会うたびに、あの頃の委員会活動が無駄ではなかったと実感します。
訪問看護も楽ではないが、自分には合っていた
訪問看護にも体力は必要ですし、一人で判断しなければならない責任もあります。
それでも、委員会や強制的な研修、病棟運営のための雑務に時間を取られることがありません。
シフトの時間内は利用者のケアに集中し、終われば自分の時間になります。この働き方は、自分に合っていました。
私にとっての転職成功とは、立場や地位を上げることではありませんでした。
1回目の転職は、大学病院での働き方への不満を解消するためのものでした。
2回目の転職は、自分が望む働き方へ進むためのものでした。
理由は違いましたが、どちらも自分にとって必要な転職で、どちらも成功だったと思っています。
転職のたびに、キャリアを手放したわけではありません。大学病院で身につけたものを持って、次の職場へ移りました。
大学病院時代の友人から「訪問看護はまだ早いんじゃない?」と言われたこともあります。
でも、病院の中で地位を作ってから移るより、動けるうちに動く方が、私には意味があると思いました。