プリセプターシップは、部署・病棟全体で機能しているのが理想的です。が、単に実技指導役を押し付けたプリセプターを新人看護師に付けているだけのケースも多くあります。
プリセプターを育成・支援する体制がなく、プリセプター自身も嫌々引き受けているような職場では、新人看護師が放置される状況にもなりがちです。
新人看護師を放置すると、困った新人が誤った処置をしてインシデントにつながるリスクがあることを認識しておくべきです。放置された場合は、このままではインシデントにつながる不安があることを含めて、上長(主任や師長)に相談するのが最善策です。
プリセプターに放置された
看護師です。中規模病院に中途で入りましたが、長年勤めてる人が多く、マニュアルなどはありません。一応プリセプターがついているものの、ほぼ放置でオリエンテーションもないです。
古い病院では、教育システムのアップデートができていないところがあったりします。長年勤めているベテラン看護師それぞれのやり方が正解となっており、新人はベテランの仕事を見て学ぶ「職人見習い」のようになってしまいます。
プリセプターシップも名ばかりのもので、プリセプターの育成などおこなっていないし、指導要領のマニュアル化もしないため、新人は名ばかりプリセプターに放置される状態になってしまいます。
長年勤めている看護師ばかりの病院とは、つまり新人看護師が残ることができないヤバい体質を持っている可能性があります。看護師の年齢層が高すぎたり、看護師がそれぞれ自分のルールで仕事しているような職場だったら、早めに去ることを考えたほうが良いでしょう。
看護師1年目です。個人病院ですが、割と名の知れた大きな精神科病院に就職いたしました。他の新人はプリセプターが親身になって色々教えてくださっていて、疎外感を感じました。初めて行う技術の際に、他の新人よりも早く自立して欲しいと言われ急にやらされましたが、プリセプターは定時で帰り放置され次の日に私は師長に怒られました。
プリセプターには残念ながら当たりはずれがあります。入職した新人が多ければ、指導経験のない看護師に強引にプリセプターを任せることがあります。
ほかの新人には親身なプリセプターが付いているのに、自分には不親切なプリセプターが付いていると、つい比べてしまってつらい気分になります。プリセプターの性格がいい加減だったら、新人が放置される状況も起きてしまいます。
看護助手に転職して1ヶ月経ちますが仕事が出来なさすぎて毎日苦戦しています。プリセプター制度があっても殆ど放置状態が多かった為、聞きやすい先輩にこっそり聞いたりして何とか自分なりに覚えようとはしていますが、色々あり自分の仕事ぶりもあって落ち込む日々です。
プリセプターシップ(制度)をかたちだけ取り入れている病院もあります。本来なら、エルダー(プリセプターの教育役)やメンター(プリセプターシップの監督役)などを配置して部署全体でプリセプターシップを実施しているのが望ましいです。
しかし、単に先輩看護師を付けてOJT(実技指導)するだけのことをプリセプターシップと誤解している病院・施設もあるのが現実です。
プリセプターが新人を放置するような職場では、ほかの先輩に聞きながら覚えていくしか方法がありません。ただ、ほかの先輩から教えてもらった仕事のやり方がプリセプターのやり方と違うと、また揉める原因になります。
プリセプターが新人を放置するような職場は、残念ながらヤバい職場です。
放置するプリセプターの心理
- 病院自体がプリセプターシップへの理解に浅く、プリセプターも単にOJTの意識でいる。
- 本当はやりたくないのに、断り切れずにプリセプターを引き受けたのでやる気がない。
- 何度教えてもできない新人にあきれて、どうせ他の看護師が教えるだろうと投げ出してしまった。
病院自体がプリセプターシップを理解できていなく、単にプリセプターをOJTとして取り入れている場合、プリセプターもOJTのつもりで接してくるでしょう。
プリセプターシップは、新人看護師に先輩看護師が付けばよいというものではありません。部署全体でプリセプターシップが実施されるべきです。しかし、名ばかりのプリセプターに新人教育を丸投げしている病院も残念ながら存在します。
このような病院では、プリセプターを育成・支援するサポート体制を持っているわけがなく、当然マニュアルもありません。新人の教育計画もずさんです。業務に慣れている看護師にプリセプターを押し付けるように任命し、プリセプターも嫌々引き受けていることになります。
新人看護師のフォローアップやオリエンテーションも十分におこなわず、「教えてもできない」と決めつけた挙句に、プリセプターの役目を投げ出して新人看護師を放置するという状況が生まれてしまいます。
院内や病棟をよく観察し、プリセプターシップが機能しているかどうかを見極めるとよいです。
放置されたらどうするか
- プリセプターに、「放置ぎみで困っている」ことを伝える。(←実行しにくい)
- ほかの先輩看護師に、代わりに教えてほしいとお願いする。
- 上長(主任や師長など)に、放置されて困っていることを相談する。
プリセプターに放置されていることに気付いたら、早めにプリセプターに「放置ぎみで困っている」ことを伝えたほうが良いです。(が、実際は言いにくいと思います。)すぐに報告すべきことが遅れたり、自分で判断して行動したことがインシデントにつながる可能性があることは認識しておくべきです。
新人看護師を放置することは、病院自体が許してはならないことなのです。
放置されている状況が改善しない場合は、ほかの先輩看護師を頼るしかありません。放置するプリセプターを悪く言いたくなる気持ちはわかりますが、一応プリセプターの顔を立てておきつつ「代わりに教えてください。」とお願いするようにします。
しかし、いつもいつも他の先輩看護師を頼るわけにもいきません。プリセプターに放置されて困っていることを上長(主任や師長)に相談する必要があります。
「なかなかプリセプターから指導してもらう時間がなく、このままではインシデントにつながる不安があります。」というような伝え方をすると、相談の動機を理解してもらいやすくなります。
それでも放置される場合は
- 病院・施設自体が、新人看護師をまともに育てようという気がない。
- 何もわからなくてつらい新人に思いやりを持たない看護師が多い可能性がある。
- 放置が、インシデントやアクシデントにつながるリスクであることを認識していない。
上長に相談しても放置される状況が改善しないなら、病院や病棟自体が新人看護師をまともに育てる気がないと考えて良いでしょう。
新人看護師を放置することは、インシデントやアクシデントにもつながりかねないリスクがあるため、本来はやってはいけないことです。逆に考えると、新人看護師が独断で行動しないようにプリセプターを付けているとも言えます。
つまり、プリセプターは、新人看護師がつねに報告・相談しやすい立ち位置にいる必要があります。放置はあり得ないことなのです。
病院や病棟の放置体質があきらかな場合は、インシデントを起こす前に職場を去る決断をしたほうが身のためです。新人看護師を放置するような病院でインシデントやアクシデントを起こすと、とんでもない責任を本人にかぶせてくるかもしれません。
スカウト機能なら、よい病院からスカウトされたときにだけ転職活動すればよいので楽です。
まとめ
- 古い病院では、教育システムのアップデートができていないところがある。新人は名ばかりプリセプターに放置される状態になってしまう。
- 入職した新人が多ければ、指導経験のない看護師に強引にプリセプターを任せることがある。
- 単に先輩看護師を付けてOJT(実技指導)するだけのことをプリセプターシップと誤解している病院・施設もある。
- プリセプターシップは、部署全体で実施されるべき。しかし、名ばかりのプリセプターに新人教育を丸投げしている病院も残念ながら存在する。
- プリセプターに放置されて困っていることを上長(主任や師長)に相談する必要がある。「このままではインシデントにつながる不安があります。」というような伝え方をすると、相談の動機を理解してもらいやすい。
- プリセプターシップが機能していない職場は、早めに辞める準備をしたほうが良い。きちんとしたプリセプターシップを整備している病院・施設はたくさんある。
- 病院や病棟の放置体質があきらかな場合は、インシデントを起こす前に職場を去る決断をしたほうが身のため。すぐに転職に動くことを考えられなくても、転職サイトに登録しておくだけで動く準備ができるので気持ちが楽になる。