プリセプターシップは、1対1で長い期間を向き合って過ごすため、その近さゆえに嫌いな感情が生まれてしまうことも多くあります。
新人看護師がプリセプターとの関係性に悩んで退職してしまうケースもあり、プリセプターシップの問題になっています。
新人看護師は、プリセプターに優しさや親しみやすさを期待するものです。しかし、プリセプターは人命を預かる環境での指導・教育の立場にあって、新人看護師にはときに厳しく接する必要もあります。
プリセプターを嫌いに思うときは、その原因を整理してみること。プリセプターの立場で考えてみることも大事なことです。
プリセプターが嫌い
- プリセプターから怒られすぎて気持ちが萎縮している。
- プリセプターに避けられているような気がする。
- プリセプターの性格がキツすぎると感じる。
プリセプターは、新人の指導・教育にあたる立場なので、ある程度の緊張感をもって接し、本人のために怒ることも必要です。新人がインシデントやアクシデントを起こすことは、絶対に許されないからです。
しかし、指導が行き過ぎてしまい、新人看護師がプリセプターを嫌いになってしまうことも現場ではよくあることです。
- ひどい言葉で怒られるので、気持ちが萎縮してしまった。
- 目をあわせてくれない、声をかけても無視される。
- 陰で悪口を言っているのを聞いてしまった。
- ほかの同期と比べられて、できないことを責められる。
プリセプターが指導に向いていない人だと、嫌悪感をあらわにしてしまうことがあります。このようなプリセプターの態度は、新人看護師にとって、ひどい場合は仕事をつづけられなくほど苦しいものです。
プリセプターとの関係に疲れて、職場に行けなくなったり仕事が嫌いになるほどなら、師長やほかの先輩、エルダーなどに相談しなければ問題解決は難しいでしょう。
プリセプターに嫌われてる
- 嫌われている原因を整理してみる
- プリセプターの立場で考えてみる
嫌われてる原因を整理してみる
看護四年大学卒業後、希望もしていない急性期混合外科病棟で働いている新人です。初めて会った時からプリさんとの距離感覚が難しいと感じていました。プリさんはオペナース経験の長い30代です。性格は少し変わっていて、機械っぽい感じです。話し方や表情が淡々としている感じです。6月ぐらいから、イジメなのか?と思うような態度をしてくるようになりました。自分だけ申し送りをさせてもらえなかったり、あからさまに言い方が違かったり、朝の申し送り時に隣で申し送りをしたら、近いんだけど?!と離れられました。しかし、私が隣に行くと必ずと言っていいほど一歩後ろに下がるんです。これをされるとほんとに自分のことが嫌いなんだなぁとつくづく思い不快になります。
プリセプターに嫌われてるような気がするとき、その原因がわからないのは苦しいものです。嫌われてると思うと、報告がしづらくなったり、質問しづらくなったりして、それがますますプリセプターをイラつかせる原因にもなります。
プリセプターシップは1対1で長い時間をかけて向き合うので、嫌いな気持ちが芽生えてしまうと、精神的な苦痛を感じてしまいがち。とくに立場上で弱いプリセプティ側が苦しむケースがほとんどです。
この質問のように、プリセプターがイジメのような態度(申し送りさせない、あからさまに避けるなど)を取っているのは問題があります。指導・教育には感情を含めるべきではありません。
「機会っぽく、淡々としている」というこのプリセプターは、むしろ理想的かもしれません。
このような嫌われ方をされている場合は、当事者同士で話すのが難しい状況です。ほかの先輩や師長に、プリセプターとの関係に困っていることを相談するのが良いでしょう。
自分の何がいけなくて、プリセプターに避けられているのかを相談するようにします。もしかしたら、周りの人には原因が見えているかもしれません。相談したことは、いずれプリセプターの耳にも入ることは想定しておいた方が良いです。
プリセプターの立場で考えてみる
4月より入職した新人看護師です。プリセプターさんは優しく指導してくれ、できない私のペースに合わせてくれていました。優しい人で良かったなと思い、日々過ごしていました。色んなことも教えてくれています。しかし、最近冷たいと感じます。前までは、これやったことある?と何度も聞いてくれ、無いと言うと一緒にやろう!と言ってくれてました。でも、最近は一緒にやろうと言ってくれなくなったり、前にも言ったよね?メモしてるの?と責めるような言い方もされるようになりました。最初の頃のプリセプターさんと別人なのかと思ってしまいます。また、無視とかはされていませんが、なんか避けられている感じがします。笑顔で話してくれなくなりました。
このプリセプターさんは性格がとても優しい方なんだろうな。と思います。不安いっぱいの新人を気遣って「これやったことある?」と声をかけ、「一緒にやろう」と行動のきっかけも作ってくれる。こんなプリセプターなら理想的にも思えます。
しかし、プリセプティが甘えつづけてしまい、このままの指導では自主性や適応力が育たないことに気付いて、優しすぎる関係性を見直したのでしょう。また、期待しているほどの成長がみられないため、態度をより厳しくせざるを得ないと判断したようにも感じます。
教育計画よりも成長が遅れていると判断して、自主性に重きを置きはじめた可能性が高いです。
新人看護師は、プリセプターに優しさや親しみやすさを期待するものです。でも、人命を預かり、絶対にアクシデントを起こしてはならない医療現場では、油断や気のゆるみが命取りになります。
この質問者のプリセプターは、自分の指導の甘さのせいで、プリセプティが何度も同じミスをすることに危機感を覚えているように見えます。メモしたことをノートに整理して疑問点を質問するなど、積極的な姿勢を見せることで関係性が改善するかもしれません。
指導の上手なプリセプターほど、最初からある程度ピリッとした緊張感を作ってくるでしょう。ただし、新人がビビッてしまうほど声をかけにくい雰囲気を出してしまうと、報告が遅れたり、新人が独断で行動してしまう原因になります。
プリセプター嫌いの処方箋
- 何が原因で嫌いなのか、嫌われているのかを整理する。
- 仕事がつづけられなくなるほどなら、ほかの先輩や師長に相談する。
- いざというときは職場を変える準備をしておくと気持ちが楽になる。
プリセプターが嫌いになるのは、プリセプターが指導の範囲を超えた態度でプリセプティに接しているときです。イジメに近い言動を取ったり、近寄りがたい雰囲気を出しているのは、医療の安全性にもかかわる問題とも言えます。
プリセプターが嫌いになったせいで、仕事に行くのが嫌になり、看護師をつづけられなくなって退職する新人看護師がいることも問題になっています。
もし、仕事をつづけられなくなるほど苦しくなっているときは、職場を変えることも検討したほうが良いでしょう。丁寧なプリセプターシップ体制を整えている病院や施設もたくさんあります。
看護師が辞めやすい病院や施設は、よいプリセプターシップを持っていない可能性が高いです。看護師が辞めるせいで、人格的に未熟な看護師にプリセプターを押し付けることになり、指導がずさんになるからです。
まとめ
- プリセプターは、新人の指導・教育にあたる立場なので、ある程度の緊張感をもって接し、本人のために怒ることも必要。しかし、指導が行き過ぎてしまい、新人看護師がプリセプターを嫌いになってしまうことも現場ではよくあること。
- 職場に行けなくなったり仕事が嫌いになるほどなら、師長やほかの先輩、エルダーなどに相談しなければ問題解決は難しい。
- 新人看護師は、プリセプターに優しさや親しみやすさを期待するもの。でも、人命を預かり、絶対にアクシデントを起こしてはならない医療現場では、油断や気のゆるみが命取りになる。
- プリセプターが嫌いになるのは、プリセプターが指導の範囲を超えた態度でプリセプティに接しているとき。
- 看護師が辞めやすい病院や施設は、よいプリセプターシップを持っていない可能性が高い。
- 自分の働いている環境があまりにもひどいと思えるなら、一度、医療系の求人サイトを見てみると良い。スカウト機能付きの転職サイトなら、自分から動かなくても、病院・施設側からアプローチしてくれるため、転職を意識したときに利用しやすい。