入職してプリセプターが決まり、いろいろ教えてもらって頑張っていこうと思ったのに、プリセプターの度がすぎるほどの怒りかたや、冷たい態度に苦しむ新人看護師は多いです。
- 最初は優しかったのに、だんだん厳しくなった。
- 「なぜできないのか、本当にメモを取っているのか。」と怒られる。
- 最近はあからさまに冷たい態度をとられて、避けられている。
など、プリセプターと接していくのが難しい状況になると、プリセプターを替えて欲しいと感じるかもしれません。しかし、「プリセプターを替えて欲しい」という要求はすべきではありません。
プリセプターを替えて欲しいと感じるほどなら、その病院・施設のプリセプターシップに問題がある可能性があります。頑張って乗り切ったとしても、そこで働き続けることが自分の望むことなのかをしっかり判断したほうが良いでしょう。
プリセプターを変えて欲しい
看護師1年目の者です。私のプリセプターさんはとても厳しい方で、一生懸命教えて下さるのですが、プリセプターの経験が今までにないためか、頭がとてもキレるためか、教えて下さる時にとても早口で、教えてくれている内容が理解できないことが多々あります。また、プリセプターさんは私に言いたいことが伝わらないためかいつもイライラして、よく患者さんの前でも私に怒鳴ったりします。また、私のいないところでも他の色々な看護師さんに、いくら教えてもできない子だなどと言っているそうです。この前、プリセプターさんから、「プリセプターを変えて欲しいなら部長さんにいっていいよ」と言われました。もしかすると、プリセプターさんも最近益々しんどそうで、常にイライラしているので、私のプリセプターをやめたいのかも知れません。お互いにしんどいのなら、私から部長さんにプリセプターを変えてもらうように言った方がいいのかもしれないと思いつつも、これは逃げになるのではという思いもあり、迷っています。
「プリセプターを変えて(替えて)もらったほうがいいかもしれない。」という悩みです。しかし、プリセプターを替えれば悩みが解決するほど、問題は単純ではありません。
回答では、次の点が指摘されていました。
- 上長は、事情を理解してプリセプターを替える可能性はある。
- 「プリセプターを替えて欲しい」と言ったことは、プリセプター本人にも伝わる。
- プリセプター(先輩看護師)との関係が悪化する可能性がある。
- 先輩看護師たちが手を組んで、無視したり、サポートしなかったり、嫌がらせされる可能性がある。
プリセプターはすでに先輩看護師たちと長く働いていて、仲間も多いはずです。新人看護師の告げ口によってプリセプターを降ろされたことは、先輩看護師たちにとっても面白くない出来事に見えるでしょう。
この質問では「部長さんに言って…」と書かれているので、比較的大きい病院なのかもしれませんが、部長では大袈裟な気がします。相談するならもっと近い上長が望ましく、もしエルダーがいるならエルダーに、または主任や師長など現場が見えている人に話すのが良いです。
最善策は、プリセプターのさらに上長の視点で解決策を考えてもらい、少しずつプリセプターとの関係を改善していくことになります。
「変えて欲しい」は言うな
- 先輩たちを敵にまわして居場所がなくなる
- プリセプターを誰にするかは上長が考えること
- プリセプターの顔をつぶすことになる
プリセプターを変えて(替えて)欲しいと思っても、その言葉は言うべきではありません。主任や師長はもちろん、ほかの先輩にも言ってはいけません。
プリセプターとの関係で悩んでいる、困っていることを相談するかたちで話すのが適切です。
居場所がなくなる
プリセプターを替えて欲しいと思っても、それを先輩や上長には話すべきでありません。そんな噂がプリセプターの耳に入れば、逆に自分の居場所がなくなるかもしれません。
プリセプターを含め先輩たちは横のつながりがあります。新人がプリセプターのことをあまり良く思っていないという態度は、先輩たちを巻き込んで逆風となってしまいます。
「半人前のくせに生意気だな」と思われて、味方についてくれる先輩もいなくなり、仕事を教えてくれる人が居なくなるでしょう。もちろん、プリセプターからの風当たりもますます強くなるはずです。
上長が考えること
上長(主任や師長)に「プリセプターを替えて欲しい」と言ったところで、「何様?」と思われるでしょう。上長は、看護師たちの経歴や経験から判断してプリセプターを選んでいるし、プリセプターを経験させることでその先輩看護師がより成長することまで考慮しているからです。
たしかに、看護師がすぐに辞めていくような病院・施設では、プリセプターシップの質は落ちるかもしれません。でも、その病院・施設でやっていけるのは、そこでのプリセプターシップを乗り切った看護師であることは事実です。
もし上長に相談するときは、プリセプターとの関係で悩んでいることだけを話すようにします。その話を聞いてプリセプターを替えるかどうするかは、上長が考えることになります。
プリセプターを替えて欲しいという要求は、新人のくせにわがままな態度にも見えるでしょう。
プリセプターの顔をつぶす
ほかの先輩や上長などに「プリセプターを替えて欲しい」と言ってしまうと、そのプリセプターの顔が立たなくなります。新人看護師から「プリセプターに向いていない」と言われているのと同じだからです。
もし、プリセプターを替える判断が下されたとしても、それは新たな問題を引き起こすことも考慮しておくべきです。
- プリセプターは、上長からの信頼を失う。
- 顔をつぶされたプリセプターに逆恨みされてしまう。
- ほかの看護師を巻き込んで嫌がらせしてくる可能性がある。
プリセプターは変えられない
- 新人が「プリセプターを変えて欲しい」とは言えない。
- プリセプターに相談できなければ、直属の上長に相談するのがよい。
- そのうえで、プリセプターを替えるかどうかは上長が決めること。
- 上長の視点で解決策を考えてもらい、少しずつ改善していく。
結局は、プリセプターを替えるよりも、上長を含めて問題を解決していく方が得策なのがわかります。
プリセプターとの関係で、どこに問題があるのかを書き出してみるとよいです。たとえば、
- 話し方が早口すぎて、指導内容を聞き取りにくい。
- メモを取っているが、確認してもらう時間がない。
- 冷たい態度をとられていると感じるので、話しかけにくい。
- 陰口を聞いてしまったことがあり、気持ちが萎縮している。
これらの問題点は、本来はすぐに報告すべきことや、指導のもとで処置すべきことがなかなか実行されにくい状況を生みます。それはインシデントやアクシデントにつながるリスクがあるということです。
上長に話をするときは、プリセプターとの関係に困っていることでインシデントを起こすことを懸念しているというふうに話すと、相談の動機が伝わりやすいでしょう。
プリセプターと今の関係だとインシデントにつながってしまうかもしれないと思ったから相談した。というのは上長でも理解しやすい動機です。
状況を変えられない場合は
プリセプターとの関係が悪化した状況を、これ以上の努力では改善できないと判断できるなら、自分が職場を替えるしか方法がありません。その病院・施設のプリセプターシップに問題があることも事実です。
- 単に新人看護師に先輩看護師を付けることがプリセプターシップだと誤解している。
- プリセプターの研修・教育を十分におこなっていない。
- エイドやエルダーなど、ほかの看護師がプリセプターシップを支援する体制ができていない。
プリセプターを替えてもらっても、次のプリセプターも同じ職場の先輩看護師になるでしょう。いままでの指導中の話も聞いているだろうし、結局はやりにくい状況になる可能性が高いです。
自分がプリセプターシップを終えると、その病院・施設で働いていくことになります。それが自分の希望する働き方なのかをよく考えておく必要があります。
まとめ
- プリセプターの度がすぎるほどの怒りかたや、冷たい態度に苦しむ新人看護師は多い。
- プリセプターのさらに上長の視点で解決策を考えてもらい、少しずつプリセプターとの関係を改善していくこと。
- プリセプターを変えて(替えて)欲しいと思っても、その言葉は言うべきではない。プリセプターとの関係で悩んでいる、困っていることを相談するかたちで話すのが適切。
- ほかの先輩や上長などに「プリセプターを替えて欲しい」と言ってしまうと、そのプリセプターの顔が立たなくなり、ほかの看護師を巻き込んで嫌がらせしてくる可能性がある。
- 結局は、プリセプターを替えるよりも、上長を含めて問題を解決していく方が得策。
- 上長に話をするときは、プリセプターとの関係に困っていることでインシデントを起こすことを懸念しているというふうに話すと、相談の動機が伝わりやすい。
- もし、状況を変えることができなくて精神的な苦しみがつづくなら、一度、医療系求人サイトの求人情報を見てみると良い。ほかの病院・施設の環境や教育体制を見てみると、いまの職場がまともかどうかの判断材料にできる。