新人看護師なら一度はインシデントで落ち込んで辞めたくなる

新人看護師のうちは、みんな一度はインシデントを起こしているし、落ち込むことも辞めたくなることも経験するものです。

インシデントで気分が落ち込むときは、同期や先輩に話を聞いてもらうのが良いでしょう。「私だってやったよ」という体験談や、再発防止のアドバイスをもらうことで、気持ちを立て直すきっかけになります。

インシデントで辞めたいと思うほど苦しい場合は、まず自分の行動や要因を振り返ることはもちろんですが、病棟や部署に新人看護師のインシデントを防ごうとする体制があるかを疑ってみることも必要です。

先輩看護師に応援やサポートを求めにくい状況では、新人看護師がインシデントを起こす原因になります。

もし、職場環境が良くないことを実感しているなら、早めに職場を変えた方がよいでしょう。看護師の求人サイトを見てみると、他の病院の職場環境や教育体制がわかるので、続けていくのが良いかどうかの判断材料になります。

知恵袋で騒然「新人看護師がもう無断欠勤」がそんな悪い?

新人看護師のインシデント


出典:医療安全推進者ネットワーク『横浜栄共済病院によるインシデント報告』※新人看護師の注射・点滴インシデント28件の内訳

新人看護師のインシデントでもっとも多いのが薬剤管理(与薬管理)です。日勤帯より夜勤帯のほうが多く発生しています。

  • 夜勤帯に受け持ち患者を見回っている最中に急患が入り、他患者への投与実施時間を見過ごした
  • 点滴投与の指示を間違えて筋肉注射にしそうになった
  • 点滴の滴下数が不適切だった
  • 注射する部位を間違えそうになった

人手の少ない夜勤では業務が渋滞しやすく、1人でたくさんの処置を抱えることになります。先輩にサポートを求められなくて、焦りが出ているときにインシデントが発生しがちです。

インシデントの要因



出典:奈良県立医科大学『新人看護師のインシデント発生状況の把握』

月が経過するごとに緊張は無くなっていきます。ただ、慌てていたり、思い込みでインシデントを起こしている状況が通年で見られます。

新人看護師のインシデントは、次のように発生します。

  1. 慌てると全体の状況判断ができなくなる。
  2. 優先順位が考えられなくなる。
  3. 応援依頼や相談ができず、一人で対応しようとする。
  4. 手順に沿った基本行為ができなくなる。

ふたたびインシデントを起こさないようにするには、

  • 慌ててしまった状況を振り返り、慌てそうなときの対策を考えておく。
  • 優先順位を整理しておく。
  • 先輩にサポートをお願いしておく。
  • 看護手技・手順をまとめておく。

といった準備をしておくことになります。

インシデントは落ち込む

新人看護師です。今日初めてインシデントを起こしました。正直だいぶ凹んでます。私は看護師に向いていないんじゃないかと考える毎日です。辞めたい気持ちも強いですが「辞めたいです」と口にするのも誰かに言うのもできないのでここに書きました。一年乗り越えたら頑張れるんでしょうが、一年持つのかわかりません。

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看護師1年目です。今日、朝の与薬を忘れるというインシデントを起こしてしまいました。先程病院から電話があって知らされました。情報の取りミスで朝の薬は無いと思ってたのにあって、内服という考えにすら至らなかったです。明日出勤したらどうしたらいいでしょうか?もう、明日病院に行きたくないです。

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初めてインシデントを起こすと、自分を責めて落ち込むものです。見たことないくらいに怒っている師長や先輩を見ると、ことの重大さにあらためて気づき、看護師をつづけていく自信すらなくなります。

新人看護師がインシデントを起こして落ち込むのは、次のような心境によるものです。

  • いままでインシデントを起こさずにやってきたので、自分は新人看護師のなかでも優秀な方だと思っていたが、違った。
  • インシデントで先輩や師長をがっかりさせてしまい、今後、期待されることはなくなったという失望を感じている。
  • 一瞬の不注意が患者の命を奪うかもしれない恐怖をインシデントで味わって、看護職には向いていない気がしてきた。

でも、インシデントは新人はもちろん、先輩看護師でも起こすものです。もし話しやすい先輩がいるなら「新人のときにインシデントやりましたか?」と聞いてみると、きっと「私もやっちゃったよ」と答えが返ってくるはずです。

インシデントは誰もが経験するし、インシデントによって強い責任感が育っていくもの。二度と起こさないようにするために、原因を見つけて、プリセプターや先輩と一緒に対策を考えていけば良いのです。

データでもわかるとおり、インシデントはちょっと慣れてきて夜勤がはじまる7月あたりに起こしがち。とくに夜勤のときは、慌てず、思い込みせず、自信のない処置は先輩にサポートしてもらうようにします。

その肝心のプリセプターや先輩が、新人のインシデントをいじったり、悪く言うような職場なら、そもそも働きつづけていくことは難しいかもしれません。早めに職場を変えることを考えた方がよいでしょう。看護師の求人サイトを見てみると、他の病院の職場環境や教育体制がわかるので判断材料になります。

インシデントから立ち直れない

看護師です。ルートキープの際、誤ってAラインに刺してしまいインシデントとなりました。立ち直れないです…看護師免許返納も考えています。今後看護師をやっていく自信を無くしました。どうすれば早く立ち直れますでしょうか。

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新人看護師がインシデントを起こしてしまうと、なかなか立ち直れないものです。とくにいままで大きなミスもせず、期待に応えてやってきたと感じていると、インシデントで自分に失望するあまり、立ち直れない気持ちになるでしょう。

注射・点滴のミスは、新人看護師がやりがちなインシデントです。先輩看護師もみんな経験しているものです。看護師免許を返納することを考えるほどのことではありません。

気分の落ち込みから立ち直るには、同期や先輩に話を聞いてもらうのが効果的です。同期や看護学生時代の友人、仲の良い先輩などに話してみると、少しは気持ちも楽になるかもしれません。

「わたしもインシデントやっちゃったよ」という体験談や、看護職の苦しみを共有することが立ち直るきっかけにもなります。

気分の落ち込みから回復できたきっかけ
自信がついてきた 業務への慣れ 16
やれることの増加 8
意欲の出現 5
同期・親・友人に相談 同期に相談 15
親に相談 2
友達に相談 5
先輩に相談 先輩に相談 7
先輩との会話の増加 3
先輩からのフォロー 6
リフレッシュ 休日に気分転換 7
休日の休養 5
趣味を楽しむ 3
上司に相談 上司に相談 2

出典:川崎医療福祉学会『入職後1年未満の看護職員の落ち込みやすい時期と回復の実態』※新人看護師へのアンケート調査結果

インシデントが多いときは

新人看護師です。ここ2、3ヶ月でインシデントを五回ほどおこしてしまいました。最初は患者に影響はないレベルでしたが、ここ最近は誤薬、経腸中止になった患者にインスリン投与、と患者の生命に関わるインシデントを起こしてしまいました。また何かおこしてしまうかもと患者を受け持つのが怖いです。

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短期間でインシデントを多発してしまうと、看護職を続けてよいのかわからなくなってきます。インシデントがあまりに多いときは、新人看護師だけの責任とは言えないかもしれません。

  • 先輩が新人に冷たくて、サポートを求めにくい雰囲気がある。
  • 教えてもらったことを、もう一度教えてほしいとは言いにくい。
  • 受け持ち人数が多すぎて、新人のキャパを超えている。
  • 怒られすぎて萎縮してしまい、冷静に優先順位を判断できない。

先輩看護師に応援やサポートを求めにくい状況では、新人看護師がインシデントを起こす原因になります。プリセプターはもちろん、ほかの先輩看護師が新人をフォロー・サポートする体制が、職場で整えられていなければなりません。

しかし実際には、先輩看護師との関係がうまくいっていないと感じる新人看護師が多くいます。先輩や師長にひどい言葉で怒鳴られたり、声をかけにくい雰囲気を作られたり。

自分はインシデントが多いと感じている場合は、職場のプリセプターシップやサポート体制を疑ってみることも必要です。

職場環境が良くないことを実感しているなら、早めに職場を変えた方がよいでしょう。看護師の求人サイトを見てみると、他の病院の職場環境や教育体制がわかるので判断材料になります。

インシデントで辞めたい

新人看護師ですが2回連続でインシデントを起こしてしまいました。4月から働き始めた新人看護師です。昨日の日勤で、患者さんの点滴を日付を間違えてしまいました。もうやらないと思っていたのに、なんと今日もやってしまいました…。もうしないと誓ったのに、今電話が来て発覚しました。失敗が続き看護師として自分が働いていていいのかと考えてしまいました。わたしは看護師を辞めるべきなんでしょうか…。

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インシデントを起こしてしまい辞めたいと思うことは、新人看護師にはよくあることです。インシデントを続けてしまうのは、1度のインシデントで気持ちが萎縮し、緊張のあまり平常心で処置にあたれなくなったことも原因として考えられます。

新人看護師がインシデントを起こしたときに、病棟や部署も全体で危機意識を持つ教育体制であることが望ましいです。しかし、現実では新人看護師だけを責めるような指導をしてしまうところもあるでしょう。

インシデントで辞めたいと思う気持ちはわかりますが、自分ひとりで対策するのは困難です。正しい判断ができる先輩看護師のアドバイスをもとに、再発防止の対策をしなければなりません。

つまり職場では、新人看護師が先輩のサポートを受けやすい環境が保たれている必要があるわけです。

  • プリセプターや先輩に声をかけやすい雰囲気はあるか。
  • 新人看護師のインシデントを病棟・部署の全体で防ごうとする体制はあるか。

もし、今の職場にこういった環境がないと感じるなら、「辞めたい」と思う気持ちは正しいかもしれません。看護師の求人サイトを見てみると、他の病院の職場環境や教育体制がわかるので、辞めるかどうするかの判断に利用してみるとよいでしょう。

まとめ

  • 新人看護師のインシデントでもっとも多いのが薬剤管理(与薬管理)。日勤帯より夜勤帯のほうが多く発生している。
  • 慌てていたり、思い込みでインシデントを起こしている状況が通年で見られる。
  • 初めてインシデントを起こすと、自分を責めて落ち込むもの。二度と起こさないようにするために、原因を見つけて、プリセプターや先輩と一緒に対策を考えていけば良い。
  • インシデントで自分に失望するあまり、立ち直れない気持ちになる。気分の落ち込みから立ち直るには、同期や先輩に話を聞いてもらうのが効果的。
  • インシデントがあまりに多いときは、新人看護師だけの責任とは言えないかもしれない。自分はインシデントが多いと感じている場合は、職場のプリセプターシップやサポート体制を疑ってみることも必要。
  • インシデントを起こしてしまい辞めたいと思うことは、新人看護師にはよくあること。職場では、新人看護師が先輩のサポートを受けやすい環境が保たれている必要がある。
  • 看護師の求人サイトを見てみると、他の病院の職場環境や教育体制がわかるので、辞めるかどうするかの判断に利用してみるとよい。