大学病院、整形外科クリニック、訪問看護。
私はこれまで2回、看護師として転職をしています。
2回とも、勇気を出すのに時間がかかりました。ただ、勇気の中身はまったく違うものでした。

1回目の転職|安定的な未来を手放す決断
大学病院で最初に転職を考えたとき、迷いの理由は「今の職場がつらいから」ではありませんでした。
むしろ、この先の道筋がある程度見えていたからこそ、そこから外れることに時間がかかりました。
大学病院ではレールが見えていた
大学病院で働き続ければ、この先どうなるかはある程度見えていました。
認定看護師や専門看護師といった資格を取り、経験年数を重ね、組織の中でポジションを上げていく。
実際、周りの先輩たちもそうやってキャリアを積んでいましたし、私自身、4年目までプリセプターを任され続けていたので、その道を歩む前提で見られていたのだと思います。
レールは、確かに用意されていました。
レールの上を歩むことへの迷い
でも、そのレールの先に自分がいる姿を、うまく想像できませんでした。
役職を目指すことにも、認定資格を取ることにも、心から向かっていきたいという実感が持てなかったんです。
辞めたい理由がはっきりあったわけではありません。ただ、このまま進んで本当にいいのか、という違和感だけがずっと残っていました。
用意された道を自分から外れるというのは、思っていた以上に迷うことでした。
2回目の転職|病院以外の環境へ移る決断
1回目とは、勇気の中身がまったく違いました。
「知らない場所へ移る」ことが気掛かりだったように思います。
訪問看護という会社組織は未知だった
整形外科クリニックで4年働いたあと、訪問看護に興味を持つようになりました。
ただ、私がそれまで知っていたのは、病棟であれ外来であれ「病院」という枠組みの中の看護でした。
訪問看護は会社・事業所という、まったく別の組織形態です。
同じ看護師という仕事でも、働く場所の性質そのものが変わることに、漠然とした心配がありました。
自分の経歴を必要としてくれた
急性期病棟での経験も、整形外科クリニックでの経験も、訪問看護という現場でそのまま活きるのかどうか、自分では判断がつきませんでした。
求人票を眺めているだけでは、その心配は消えませんでした。
そんな中、スカウトサービスに登録してみたところ、こちらの経歴を見た訪問看護の会社から声をかけてもらえることがありました。
「この経歴でも、来てほしいと思ってくれるところがあるんだ」と分かったのは、正直、安心材料の一つにはなりました。
ただ、それで心配がすべて消えたわけではありません。訪問看護という環境そのものへの分からなさは、結局、入ってみるまで残り続けていたと思います。
転職する勇気は、迷いをなくすことではなかった
2回の転職を振り返って、共通していたことがあります。
どちらも、迷いや心配がなくなってから動いたわけではないということです。
残る理由と転職する理由を比べる
1回目も2回目も、今の職場に残る理由は確かにありました。
大学病院には見えている未来があったし、整形外科クリニックにも慣れた環境と積み上げてきたものがありました。
それでも、残る理由と、転職する理由を並べて考えたとき、最終的には転職する方を選びました。
迷ったままでも動くことはできる
振り返ってみると、2回とも、迷いがなくなってから動いたわけではありません。
用意されたレールを外れる怖さも、未知の環境への心配も、消えないまま転職しています。
勇気というのは、迷いや心配をゼロにすることではなく、迷いを抱えた状態であってもまずは動き出すことだったと、今は思います。